不動産政策に関する国民大討論会では、住宅保有段階の税金から売却段階の譲渡所得税、公共宅地の供給速度、伝貰(チョンセ)ローンと公共賃貸住宅に至るまで、幅広い政策の方向性が議論された。核心は、自己居住目的の一般的な住宅と、超高額・複数住宅・非居住住宅をより細かく区分しようというものだ。
ただし、討論会での発言は政策の方向性や検討指示としての性格が強い。超高額住宅の基準、税率、減免上限、適用時期などは、税制改正案の発表と国会での立法を経て確定される。
議論された政策の一覧
| 分野 | 議論された方向性 | 期待される効果 | 主な争点 |
|---|---|---|---|
| 保有税 | 自己居住・庶民・地方の住宅は減免し、超高額・複数住宅・非居住住宅は段階的に強化 | 投機的保有の抑制と課税の公平性改善 | 超高額の基準、自己居住の判定、税負担が急増する可能性 |
| 1住宅保有者の譲渡税 | 減免回数や累積減免額への上限設定を検討 | 高額住宅の繰り返しの買い替えに対する過度な優遇を制限 | 実際の住み替えと投機取引を区分する基準 |
| 複数住宅保有者の譲渡税 | 住宅数を減らす際に一時的に負担を軽減する出口策を検討 | 売り控えの緩和と市場への売り物件の増加 | 従来の猶予措置との公平性、売却促進効果 |
| 住宅供給 | 新規宅地より既存の公共宅地における補償・許認可・着工期間を短縮 | 入居可能な住宅の供給時期を前倒し | 工事費、住民との協議、インフラと補償の遅延 |
| 建て替え・再開発 | 容積率引き上げなどの一律的な規制緩和には慎重 | 開発期待による価格不安の防止 | 長期的な供給拡大と短期的な価格上昇のバランス |
| 伝貰ローン | 非居住住宅保有者への支援は再検討し、若者・新婚夫婦は支援 | 住宅価格を刺激する信用供給の抑制 | 実需者への悪影響と賃貸市場が縮小する可能性 |
| 公共賃貸 | 駅勢圏に中型住宅を供給し、中間層まで長期居住を支援 | 公共賃貸の居住品質と需要基盤の拡大 | 土地費、財源、供給戸数と立地の確保 |
保有税はどのように変わり得るか
一般的な1住宅を基本基準線として設定
討論会ではまず、「一般的な1住宅」に適用する基本的な保有税水準を定めたうえで、住宅の価格、数、利用目的、地域に応じて負担に差を設ける構想が提示された。
議論された仕組みは次のとおりだ。
- 自己居住目的の一般的な1住宅には基本負担を適用する。
- 庶民向け住宅と地方住宅には減免措置を付与する。
- 超高額住宅、複数住宅、投機目的の非居住住宅には段階的に負担を上乗せする。
- 住宅数だけでなく、資産価値と実際の利用形態を課税基準により積極的に反映する。
提示された討論会の内容では、超高額住宅の基準として時価40億~50億ウォン程度が検討され得るとの見方が紹介された。しかし、これは確定した課税基準ではない。実際の制度では、時価、公示価格、課税標準のうち何を基準とするかによって、対象と税負担が大きく変わる。
現行の保有税との違い
韓国の住宅保有税は、地方税である財産税と国税である総合不動産税で構成される。総合不動産税は、公示価格の合計、基礎控除、1世帯1住宅かどうか、住宅数と所有形態などを反映する。
討論会で提起された問題は、住宅数中心の区分だけでは資産価値と実際の保有目的を十分に反映しにくいという点だ。地方の中低価格住宅を複数保有する人が、ソウルの超高額住宅を1戸保有する人より重い税負担を負う可能性があるとの指摘だ。新たな差等制度が導入される場合、住宅数とともに価格・自己居住の有無・地域特性を組み合わせる方式が核心となる可能性がある。
1住宅保有者の譲渡税減免調整案
減免回数と累積総額の制限
討論会では、1住宅保有者が高額住宅を何度も買い替えながら非課税または減免措置を繰り返し受ける仕組みを調整する必要があるとの意見が出た。検討対象として言及された方式は大きく3つある。
- 生涯または一定期間における減免回数を制限する。
- 最初の売却には大きな優遇を与え、その後の取引から優遇を縮小する。
- 複数の取引を合算した累積減免額に上限を設ける。
こうした方式は、長期間1戸の住宅に居住した世帯と、高額住宅を繰り返し買い替えた世帯を区分することが目的だ。一方、就職、家族構成の変化、介護などで転居が多い実需者が不利になる可能性があるため、例外基準が必要となる。
現行の1世帯1住宅非課税の基本構造
現行の所得税法上、1世帯1住宅の譲渡所得税非課税は、原則として保有期間などの法定要件を満たさなければならない。譲渡価額が12億ウォンを超える高額住宅は、譲渡益全体が自動的に非課税となるのではなく、12億ウォン超過分に対応する譲渡益が課税対象となる場合がある。
取得時期と地域によっては居住要件が追加されることがあり、一時的な2住宅、相続住宅、婚姻による世帯合併などには別途特例が適用される場合がある。したがって、「2年保有」だけですべての1住宅取引が非課税になると断定してはならない。
複数住宅保有者に売却の出口策が必要な理由
保有税を引き上げると同時に譲渡税負担まで高いまま維持すると、複数住宅保有者が税金を避けるために売却を先送りする可能性がある。これを「売り控え」という。売り物件が減れば取引可能な住宅が減少し、一部地域では売買価格や賃料が上昇する可能性もある。
提示された内容によると、2026年5月9日に複数住宅保有者への譲渡税重課猶予が終了した後、こうした懸念が提起された。これに伴い、保有税の強化とともに、次のような一時的な出口策が検討される可能性がある。
- 一定期間、重課税率の一部を引き下げる。
- 保有住宅数を実際に減らした場合に限って負担を緩和する。
- 処分期限を定め、短期的な売り物件の放出を促す。
- 投機的な短期保有と長期保有を区分する。
従来と同じ水準の猶予を単純に繰り返せば、事前に住宅を処分した人との公平性の問題が生じる。したがって、後続案では減免対象、期間、住宅数の減少条件が重要な判断基準になる見通しだ。
供給政策は期間短縮に焦点
既存公共宅地の事業期間短縮
討論会では、首都圏で大規模な新規宅地を追加で確保することが難しいという現実が強調された。代案として、第3期ニュータウンなど、すでに指定された公共宅地の事業期間を短縮する案が提示された。
公共宅地は一般に、地区指定、土地補償、許認可、インフラ整備、着工、入居の手続きを経る。各手続きを順番に処理すると事業期間が長期化する可能性があるため、一部の手続きを並行して進めたり、重複する規定を見直したりする案が検討され得る。
高陽・昌陵地区の事例のように、土地補償の遅延と工事費の上昇は着工時期を遅らせる主な変数だ。行政手続きを短縮しても、補償協議、交通網や学校などのインフラ、建設費と事業採算性の問題が解決されなければ、実際の入居時期を大幅に前倒しすることは難しい。
建て替え・再開発の緩和には慎重
容積率の引き上げと整備事業の規制緩和は、長期的に都心部の住宅数を増やし得る。しかし、事業初期には開発期待が先に織り込まれ、既存住宅と土地の価格を刺激する可能性がある。討論会では、供給拡大効果と短期的な価格上昇リスクを併せて検討すべきだという慎重な立場が示された。
伝貰ローンと公共賃貸住宅の方向性
伝貰ローンは保有住宅と実需を区分
討論会では、すでに住宅を保有している人が別の住宅に伝貰で居住するために受けるローンが必要かどうか、再検討すべきだとの意見が示された。伝貰ローンは賃借人の居住安定を助ける一方、利用可能な資金を増やし、伝貰価格と売買価格を刺激する可能性があるという認識が背景にある。
ただし、伝貰ローンの限度額と資格は、保証機関、金融会社、保有住宅の価格と所在地などによって異なる場合がある。非居住の1住宅保有者への伝貰ローンを原則として遮断する案も、確定した規定ではない。若者、新婚夫婦、無住宅の庶民など、政策的な保護が必要な層については、支援を維持または強化する方向性も併せて言及された。
中型公共賃貸の拡大構想
公共賃貸住宅を小型中心に供給してきた方式から脱却し、駅勢圏に専用面積がより広い中型住宅を供給する構想も再確認された。家族世帯と中間層が長期間居住できる品質と立地を備えるという趣旨だ。
「25坪・30坪」は一般に供給面積を指す表現として使われるが、事業ごとに専用面積は異なる場合がある。実際の供給規模と賃料、入居資格、居住期間は、個別の事業計画で確定されなければならない。
市場に及ぼし得る影響
予想されるプラス効果
- 超高額・非居住住宅の保有コストを引き上げ、投機的需要を減らすことができる。
- 住宅数より資産価値と使用目的を反映し、課税の公平性を改善できる。
- 条件付きの譲渡税緩和が実施されれば、短期間で売り物件が増える可能性がある。
- 公共宅地の手続き短縮が実際の着工と入居につながれば、中期的な供給不安を緩和できる。
- 中型公共賃貸は、家族世帯と中間層の長期的な居住の選択肢を広げ得る。
併せて検討すべきリスク
- 税負担が賃料に転嫁される可能性がある。
- 譲渡税負担が十分に緩和されなければ、売り控えが深刻化する可能性がある。
- 減免の終了と再導入が繰り返されれば、市場参加者が次の猶予措置を待つ可能性がある。
- 自己居住の判定が複雑になれば、行政コストと租税紛争が増える可能性がある。
- 事業手続きの短縮によって、安全、環境、住民からの意見聴取が弱められてはならない。
確定案で確認すべき項目
討論会後に発表される税制改正案と法改正案では、次の事項を確認する必要がある。
- 超高額住宅を時価と公示価格のどちらで判定するのか。
- 自己居住と非居住をどのような期間と証明書類で区分するのか。
- 地方・庶民向け住宅の減免に関する価格および地域基準は何か。
- 1住宅保有者の譲渡税減免制限が、回数基準なのか累積金額基準なのかを確認する。
- 既存保有者に経過措置と段階的な引き上げ期間を設けるかを確認する。
- 複数住宅保有者への譲渡税緩和の期間と、住宅数減少の条件を確認する。
- 伝貰ローン制限の対象と、若者・新婚夫婦への例外範囲を確認する。
- 公共宅地の期間短縮目標が、分譲、着工、入居のうち、どの時点を基準とするのかを確認する。
結論
今回の討論会で示された政策の方向性は、すべての住宅に一律に増税する案よりも、自己居住の有無、住宅価格、住宅数、地域を組み合わせて負担に差を設けることに焦点を当てている。保有税の強化だけでは売り控えと賃料上昇を引き起こす可能性があるため、複数住宅保有者の条件付き売却の出口策と供給期間の短縮を同時に進めようとする構造だ。
しかし、討論会での発言だけで納税額や融資の可否が変わるわけではない。実際に適用されるかどうかは、政府の税制改正案、国会で可決された法律、施行令、金融機関の詳細な指針を基準に判断しなければならない。