韓国の所得再分配、2023年はOECD29カ国中28位
韓国の2023年のジニ係数改善率は17.6%で、比較可能なOECD29カ国中28位です。税金と現金給付による再分配効果を示す数値であり、不平等の水準や福祉全体の成果とは区別する必要があります。
韓国の2023年のジニ係数改善率は17.6%で、比較対象のOECD29カ国中28位です。
韓国の2023年のジニ係数は、市場所得ベースの0.392から可処分所得ベースの0.323に低下しました。
韓国の2023年の66歳以上の人口におけるジニ係数改善率は29.6%です。
ジニ係数改善率は、個人の所得増加率や税金の還付率を意味しません。
現金所得を中心とした再分配指標には、医療・教育サービスの価値や資産格差は直接反映されません。
韓国の2023年の所得再分配効果は、比較可能なOECD加盟29カ国中28位です。ジニ係数の改善率は**17.6%**です。税金と現金給付によって所得の不平等が縮小した割合を示します。
国際比較の数値は、2026年9月20日に報じられたOECDの所得分配統計における、2023年の所得を基準とした値です。
所得再分配とジニ係数の意味
所得再分配は、税金や福祉などによって所得分布が変わる過程です。今回の比較では、市場所得と可処分所得のジニ係数を使います。ジニ係数は所得の不平等の程度を示す指標です。
用語 | 意味 | 読み取る際の基準
市場所得 | 勤労所得・事業所得・財産所得などを反映した再分配前の所得 | 賃金だけを比較する指標ではありません。
可処分所得 | 現金給付や税金・社会保険料などを反映した所得 | 家計が使える所得を意味します。
ジニ係数 | 所得分布の不平等の程度 | 0に近いほど平等で、1に近いほど不平等です。
ジニ係数の改善率 | 再分配前のジニ係数に対する減少分の割合 | 高いほど、所得の不平等を縮小した割合が大きくなります。
OECDは世帯人数に応じて調整した世帯所得で分布を比較します。同じ所得でも、世帯の規模によって暮らし向きが異なるためです。個人の給与明細だけで計算する統計ではありません。OECDの所得分配統計の作成基準で所得の範囲を確認できます。
韓国と他国の再分配効果の比較
韓国の改善率は、2023年の比較対象国の平均である34.4%を下回ります。韓国より改善率が低い国はコスタリカです。以下の表は、改善率が高い順に並べています。
国 | 2023年の市場所得のジニ係数 | 2023年の可処分所得のジニ係数 | 改善率 | 29カ国中の順位
スロバキア | 0.413 | 0.213 | 48.3% | 1位
ベルギー | 0.486 | 0.254 | 47.7% | 2位
フィンランド | 0.509 | 0.269 | 47.2% | 3位
フランス | 0.517 | 0.299 | 42.2% | 6位
韓国 | 0.392 | 0.323 | 17.6% | 28位
コスタリカ | 0.535 | 0.470 | 12.1% | 29位
韓国の市場所得のジニ係数は、この比較対象国の中で最も低い値でした。可処分所得のジニ係数は、低い順で22位でした。韓国でも不平等は縮小しましたが、他国の縮小効果のほうが大きい結果でした。聯合ニュースのOECD統計比較表で国別の数値を確認できます。
したがって、順位の低下を不平等そのものの悪化と受け取ってはいけません。韓国のジニ係数自体は0.392から0.323に下がりました。再分配前後の国別順位と、指標の増減は別の情報です。
改善率17.6%の計算例
2023年の韓国の改善率は、ジニ係数の減少分を元の値で割って計算します。市場所得のジニ係数は0.392です。可処分所得のジニ係数は0.323です。
· 減少分を求めます。0.392 - 0.323 = 0.069です。
· 減少分を元の値で割ります。0.069 ÷ 0.392です。
· 百分率に換算します。0.069 ÷ 0.392 × 100 ≈ 17.6%です。
ジニ係数の減少分である0.069と、改善率の17.6%は区別する必要があります。改善率は、元の値と比べてどれだけ下がったかを示します。個人の所得がその分増えたという意味ではありません。
月給の差を例に、再分配の方向を理解することもできます。以下の金額は実際の税額計算ではなく、仮定です。聯合ニュースの国別ジニ係数の計算とは別の、説明用の例です。
区分 | 所得が高い人 | 所得が低い人 | 2人の所得の差
税金・支援の反映前 | 月500万ウォン | 月200万ウォン | 月300万ウォン
税金・支援の反映後 | 月450万ウォン | 月250万ウォン | 月200万ウォン
この仮定では、2人の所得の差が月100万ウォン縮小しました。実際のジニ係数は、人口全体の所得分布から計算します。2人の金額の差だけでは、韓国の改善率は求められません。
過去より改善したのに順位が低い理由
改善率が上がることと、国際順位が上がることは別です。韓国の改善率は2015年の11.6%から2020年には19.0%に上がりました。2023年には17.6%を記録しました。上昇が続いていたわけではありません。
他国の改善率がさらに高ければ、国内の数値が改善しても下位にとどまります。比較に含まれる国も年によって変わる可能性があります。時期ごとの順位だけを並べると、変化の大きさを読み違える可能性があります。
OECDは2026年6月の更新時に、韓国の過去のデータを修正しました。修正の対象は2011年から2022年までです。長期的な傾向は、同じバージョンのデータで比較するほうが正確です。OECDの所得分配統計の更新案内に修正履歴が掲載されています。
高齢者層の再分配効果と年金制度
韓国の高齢者層の再分配効果は全年齢より大きいものの、国際比較では低い水準です。ここでいう高齢者層は66歳以上です。一般的な高齢者の年齢基準と混同しないようにする必要があります。
2023年の比較項目 | 韓国の全年齢 | 韓国の66歳以上
市場所得のジニ係数 | 0.392 | 0.540
可処分所得のジニ係数 | 0.323 | 0.380
ジニ係数の改善率 | 17.6% | 29.6%
比較対象29カ国中の改善率の順位 | 28位 | 28位
退職によって勤労所得が減ると、公的年金の役割が大きくなります。韓国の高齢者層の改善率は、2023年の比較対象国の平均である57.1%に届きません。同じ年の韓国の高齢者層の可処分所得のジニ係数は0.380です。全年齢の0.323より不平等が大きい水準です。2023年の年齢別OECD統計に関する報道で比較結果を確認できます。
年金の加入期間は、こうした差を理解する手がかりです。OECDは韓国の年金制度がまだ成熟の途上にあると説明しています。現在の高齢世代には、年金の加入期間が短かった人が含まれます。新たに退職する世代の加入期間が長くなっている変化も併せて見る必要があります。OECDの2025年韓国年金報告書がこの背景を説明しています。
高齢者層の市場所得が平等でも、老後の生活が十分とは限りません。退職後も働いて所得を得る仕組みが、指標に影響している可能性があります。働くのをやめた後、どれだけ所得を維持できるかは別に判断する必要があります。
現金所得の指標に含まれない福祉と資産
この指標だけで福祉制度全体の成果は評価できません。この指標は家計の現金所得の分布に焦点を当てています。医療・教育サービスや資産の保有状況は別に見る必要があります。
区分 | この比較での扱い | 併せて確認する情報
公的年金・現金手当 | 現金所得に反映します。 | 受給対象の範囲と給付水準
直接税・社会保険料 | 可処分所得の計算に反映します。 | 所得階層別の負担
医療・教育などの現物サービス | サービスの価値を所得に直接加えません。 | サービスの利用と自己負担
消費税 | この可処分所得の定義では直接差し引きません。 | 消費に伴う税負担
住宅・金融資産の保有額 | 所得のジニ係数では直接測定しません。 | 純資産の分布と負債
OECDの可処分所得の定義では、現物サービスや消費税などを区別しています。したがって、現金による再分配効果が弱いという解釈には根拠があります。福祉全体も同じ順位だと解釈を広げると、測定範囲を超えます。OECD Society at a Glance 2024の世帯所得の定義に説明があります。
所得再分配の順位についてよくある誤解
28位という数字は、比較対象国と測定対象を併せて読み取る必要があります。今回の結果は、2023年のデータがある29カ国の比較です。OECDの全加盟国を同じ年の基準で評価した順位ではありません。
· 28位は再分配による改善率の順位です。可処分所得の不平等の順位とは異なります。
· 17.6%はジニ係数の減少率です。税率や還付率を意味しません。
· 市場所得のジニ係数が低くても、生活水準が高いとは断定できません。所得の絶対額は別の情報です。
· ジニ係数と貧困率は異なる指標です。貧困率は、特定の所得基準を下回る人口の割合です。
· この比較だけでは、税金と福祉それぞれの寄与度を切り分けられません。どの制度を変えるかには追加の分析が必要です。
国別の順位を改めて確認するには、所得の対象年をそろえる必要があります。全年齢と高齢者層も区別する必要があります。OECD Data Explorerで市場所得と可処分所得のジニ係数を併せて確認できます。