不動産税制改正案の中心的な方向性は、住宅を単に長く保有した人よりも、実際に長く居住した人を優遇することだ。総合不動産税は、1世帯1住宅保有者の基礎控除を拡大する一方で高額住宅への課税を強化し、譲渡所得税は保有期間よりも居住期間に大きな控除を付与する仕組みに変わる。
本稿では、提示された改正案の内容に基づき、制度の仕組みと予想される影響を分析する。税制改正案は発表だけで直ちに施行されるわけではなく、国会での法改正や施行令の整備過程で、税率・時期・経過措置が変更される可能性がある。
まず区別すべき税金
今回の改正案の直接的な対象は総合所得税ではなく、総合不動産税と譲渡所得税だ。
- 総合不動産税: 毎年6月1日時点で、一定額を超える住宅などの不動産を保有する人に課される保有税だ。
- 譲渡所得税: 住宅を売却して生じた譲渡益に課される税金だ。所得税法に属するが、給与・事業所得などに適用される総合所得税とは計算体系が異なる。
- 公示価格: 総合不動産税や財産税など、保有税の計算基準となる行政上の価格だ。実際の取引価格である時価とは同一ではない。
- 基礎控除: 総合不動産税の計算時に、住宅の公示価格合計額から先に差し引く金額だ。基礎控除を超えた金額の全額が、そのまま税額になるわけではない。
総合不動産税改正案:実居住の1住宅控除を拡大
提示された改正案によると、現行の1世帯1住宅保有者に対する総合不動産税の基礎控除12億ウォンを14億ウォンに引き上げる。一般納税者の基礎控除は9億ウォンを維持する仕組みだ。
| 区分 | 現行基準 | 改正案の方向性 |
|---|---|---|
| 1世帯1住宅保有者の基礎控除 | 公示価格12億ウォン | 公示価格14億ウォン |
| 実際に居住していない場合 | 別途の居住要件なし | 9億ウォンの控除適用を提示 |
| 一般・複数住宅保有者の基礎控除 | 公示価格9億ウォン | 9億ウォンを維持 |
| 税率体系 | 住宅数に応じて差を設定 | 0.5~5%の範囲に統合する案を提示 |
| 高額住宅への課税 | 現行税率・比率を適用 | 上位区分の税率と公正市場価額比率を引き上げる方向 |
改正案どおりに施行されれば、公示価格が12億ウォン超14億ウォン以下の、実際に居住する1住宅保有者は、総合不動産税の課税対象から外れる可能性がある。一方、高額住宅は税率と公正市場価額比率の調整により、税負担が増える可能性がある。
総合不動産税は公示価格だけで決まるわけではない
総合不動産税は、おおむね次の順序で計算される。
- 納税者ごとに住宅の公示価格を合算する。
- 適用可能な基礎控除を差し引く。
- 公正市場価額比率を適用して課税標準を算出する。
- 課税標準の区分ごとの税率を適用する。
- 財産税との重複分、高齢者・長期保有に対する税額控除、税負担の上限などを反映する。
したがって、公示価格が同じでも、住宅数、世帯構成、持分比率、年齢、保有期間、実際の居住の有無によって最終的な税額は異なる可能性がある。改正案で言及された「税金が2~5倍に増加」という内容は、すべての高額住宅に一律に適用される結果ではなく、特定の価格・保有条件を前提とした推計値と見るべきだ。
実居住の判定基準が重要
実際に居住する人には14億ウォン、居住しない人には9億ウォンを控除するのであれば、次の事項を法律または施行令で具体的に定める必要がある。
- 課税基準日現在の居住だけを確認するのか、一定期間以上の居住が必要なのか
- 住民登録上の住所と実際の生活拠点が異なる場合、何を基準に判断するのか
- 勤務・疾病・教育・海外勤務により、一時的に居住できなかった場合を認めるのか
- 夫婦共有名義、または世帯員が分けて所有する住宅をどのように扱うのか
- 相続住宅、一時的な2住宅保有、地方の低価格住宅に例外を設けるのか
これらの基準が確定しなければ、「実居住の場合は14億ウォン控除」という内容だけでは、個人の総合不動産税を正確に計算できない。
譲渡所得税改正案:保有から居住中心へ転換
現行の1世帯1住宅に対する長期保有特別控除は、一定の要件を満たすと、保有期間と居住期間についてそれぞれ年4%ずつ、合計で最大80%の控除率を適用する仕組みだ。
改正案は、これを長期居住所得控除に変更し、保有そのものに対する控除を段階的に縮小する方向性を示している。提示された日程によると、2029年から保有控除は0%、居住控除は1年当たり8%となり、最大80%まで適用される。
| 項目 | 現行制度 | 改正案の2029年の方向性 |
|---|---|---|
| 保有期間控除 | 年4%、最大40% | 0% |
| 居住期間控除 | 年4%、最大40% | 年8%、最大80% |
| 合計の最大控除率 | 80% | 80% |
| 控除の中心 | 長期保有と居住 | 実際の居住 |
| 控除限度 | 現行法令に基づく計算 | 2028年は20億ウォン、2029年は10億ウォンを提示 |
最大控除率自体は80%で同じだが、居住せずに保有しただけの期間は、今後控除に寄与しなくなる。長期賃貸、海外滞在、または他地域での居住により、その住宅に実際に住んでいなかった所有者は、譲渡所得税の負担が増える可能性がある。
控除率80%は譲渡所得税の80%減免とは異なる
長期保有または長期居住に対する控除は、一般的に、算出された税額から80%を直接差し引く税額控除ではない。課税対象となる譲渡益から一定額を控除する方式であるため、取得価額、必要経費、高額住宅の課税対象となる譲渡益、基礎控除、税率区分によって、実際の節税率は異なる。
改正案で提示された「控除限度20億ウォンまたは10億ウォン」についても、何を限度とするのかを正式な法案で確認する必要がある。控除対象となる譲渡益の限度なのか、控除額自体の限度なのかによって、結果が大きく異なるためだ。
予想される納税者別の影響
| 納税者の類型 | 予想される方向性 | 主な変数 |
|---|---|---|
| 長期間保有し、継続して居住した1住宅保有者 | 最大控除率を維持する可能性 | 実際の居住期間と控除限度 |
| 長く保有したが居住していない1住宅保有者 | 譲渡所得税が増える可能性 | 保有控除の縮小日程 |
| 譲渡益が大きい超高額住宅の所有者 | 控除限度の縮小により負担が増える可能性 | 取得価額・譲渡価額・居住期間 |
| 居住期間が短い高額住宅の所有者 | 控除率が下がる可能性 | 居住が認められる期間と経過措置 |
| 改正前に取得した住宅の所有者 | 経過措置により結果が異なる | 取得日・居住履歴・譲渡日 |